ロナルド・ルイス・フェルナンデス(Ronald Louis Fernandez)著
リスボン・タイプ ポルトガル・ギター演奏法 C-2000

 私は、これから数ページに渡り、楽譜と記号表記を用いて実際の音楽のサンプルを掲げ、リスボン・スタイルのポルトガル・ギターの奏法について述べます。

 現代のポルトガル・ギターには二つのタイプがあります。その一つ、コインブラ(Coimbra)タイプのギターは、弦長470mmで、涙型か矛型の頭部デザインを持ち、他方のリスボン(Lisboa)ギターは、弦長440mmが通常で、カタツムリ型か渦巻き型の頭部デザインとなっています。

 1997年、パウロ・ソアレス(Paulo Soares)は、コインブラ・ギター奏法を示すとても素晴らしい教本を出版致しました。相対するリスボン・スタイルの奏法を示す現代的な教本はございません。ここで私が示す短い奏法解説が、どなたか私以上に資質に恵まれた方の刺激となり、これに続く手引書を引き受けて頂けたら、と希望しています。

 この写真は、私が所有している、アントニオ・ビクトール・ビエラ(Antonio Victor Viera 189 Rua Eugenio dos Santos, 191 Lisboa, Portugal) 1920年作のポルトガル・ギターです。 1970の数字の表示があります。2000年、自分自身で、この楽器に生じた6個の割れ目を修理し、フレンチ・ポリッシュによる仕上げを施しました。

この教本の内容(目次)

  1. リスボン・スタイル
    ポルトガル・ギターの調弦の仕方
  2. 略譜と記号表記
  3. 左手について
  4. 右手と装着する
  5. 右手の演奏テクニック
    (フリー・ストロークとレスト・ストローク)
  6. 演奏姿勢と足台
  7. 基本練習
  8. ファド・コリード(Fado Corrido) ニ短調
  9. ファド・コリード(Fado Corrido) ニ長調
  10. ファドの詩、歌と音楽の関係
  11. 基本コード
    (フリー・ストロークとレスト・ストローク)
  12. 私とファド音楽との関わり合い
  13. ポルトガル・ギターについての
  14. 参考文献抜粋

1. リスボン・ギターは、弦2本一組の構成で、12弦6コースとなっています。

   現代ポルトガル・ギターのリスボン調弦(調弦図)

 ヘルムホルツ(helmholtz)表記法は、各音の実際のオクターブ位置を厳格に示しています。ヘルムホルツ表記法の”1a”は、一般には “A440”ピッチと示されます。 すなわち、ピアノでは中音域の”C”音の上、”A”音にあたり、スパニッシュ・ギターでは、第一弦の第5フレットの”A”音に相当致します。1

 ポルトガル・ギターの調弦は、あなたが半音階対応(Chromatic)電子チューナーをお持ちならば、非常に間単に出来ます。先程の調弦図に従い、チューナーを頼りに調弦して下さい。 唯一気をつけなければならないのは、一オクターブ高すぎる調弦をしてしまう事です。それは、多分に弦を損ねてしまいます。

 もし、“A”440Hzのチューニング・フォークを使うならば、最初に第3弦、第4弦、第10弦の音程を得ます。 そして、これらの弦との関係付けにより、残りの弦を調弦致します。 第1弦、第2弦、第8弦の音程を得るには、第3弦と第4弦(これは、第2コース弦あるいは、単に第2コースと言われます)の第2フレットを押さえて必要な音を得ます。 第7弦は第8弦より一オクターブ低く調弦します - これらの弦のオクターブの差を見つけるのは、さほど難しくはありません。 第10弦は第9弦より、単に、一オクターブ低くします。第6弦と第5弦は、第8弦の第5フレットに合わせます--- 通常ギタリストは、オクターブ差のある第7弦と第8弦である4コースの第5フレットをそのまま弾きます。第11弦と第12弦は“d”に合わせ、 一オクターブの差をつけますが、この“d”は第4コース(第7弦と第8弦)の第3フレットに合わせます。

 一般にギターの調弦と言います時には、12弦それぞれの調弦というよりも6コースの調弦を意味します。 慣習として、演奏者は調弦を単に、D,A,B,E,A,G(第6弦から第1弦へ)と言います。標準表記法で、ただ各コースの一番低い音のみ示されます。

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ロナルド・ルイス・フェルナンデス(RonaldLouis Fernandez)著
リスボン・タイプ ポルトガル・ギター演奏法 (C)2000 原著

翻訳:戸神敏彦(M.G Company,Inc. = Guitar-Harp.com
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M.G Company
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