5. 写真で研究したり、良い演奏家を観察したりすると、右手の位置について様々な方法があることが明白となります。加えて、リスボン式の右手はコインブラ式に比べて違いのあることが、お解りになるでしょう。(以下の写真、参照してください)。これら二種類のスタイルの違いは、それぞれの演奏の大家を研究することが一番の理解をもたらすでしょう。しかし、ここにいくつか有益な解説があります。
人差し指がフリー・ストロークを奏でるリスボン式手の位置
レスト・ストロークを奏でるコインブラ式手の位置
リスボン・スタイルでは、人差し指は主にフリー・スタイルで演奏し、一方コインブラ・スタイルでは、かなりレスト・ストロークに依存しています。フリー・ストロークは人差し指か親指で演奏し、リスボン・スタイルでは、人差し指によるフリー・ストロークの使用が最も重要です。フリー・ストロークは基本的には1コースの弦を弾いた時に、隣のコースに寄りかかりません。これに対して、レスト・ストロークは1コースを弾いて、次の弦に留まります。もうひとつの違いの説明は、フリー・ストローク(pulsacao livre)では、指が弦を越し手の側に向かいます、一方レスト・ストローク(pulsacao apoiada)は指の向かう方向はサウンド・ボードです。
リスボン・スタイルがフリー・ストロークにかなり依存している一方、コインブラ・スタイルはレスト・ストロークである事実は、人差し指の使われ方に反映しています。多くのリスボン奏者は、フリー・ストロークを奏でるとき、やや人差し指を曲げます ― このわずかな指の折り曲げで、奏者が1弦をしっかりと弾き,次の弦にあたらないようにしています。一方,コインブラ奏者は人差し指を真っ直ぐにして硬直したような形で弾いているように見えます ― これは弦を強く弾くようにし(レスト・ストローク奏法で)隣の弦に寄りかかるようにします。
有能なリスボン奏者の中には、右手を小指をサウンド・ボードかピックガードに置いて支える必要はないと、私に話された人もいます、が、 私は、多くの良いリスボン・スタイルの奏者がサウンド・ボードに指を置いているのを何度も見たことがあります。リスボン・スタイルは、もし右手を正しくギターの横側に位置付けしてあれば、 小指をサウンド・ボードに置かなくても演奏できるように思われます。これに対して、コインブラ奏者は、サウンド・ボードににかわで接着されたピックガードに手を支えるべきだ、 ― この様な手の位置は偉大なコインブラ奏者カルロス・パレーデス(Carlos Paredes)が取っています -と私に話されました。
6. ひとつの典型的な演奏ポジションを以下の写真で示しています。
ジョアン・パルメイロ(Joan Palmeiro)作のギターラと私
ターラを右太もも側で支える奏者もいます。もし私が、右太ももで支えると、右足に小型の足台を置くとより快適になるように感じます。多くの奏者は両足を地に付け、カルロス・ゴンサルヴェス(Carlos Goncalves: アマリアの贔屓の伴奏者の一人)のように、良い奏者の中には、左足の下に小型の足台を使う奏者もいます。このような足台は足を3-4インチ(75-100mm)高くします。